破壊 徹底的な破壊 「スクラップ・アンド・ビルド」 羽田圭介 2015

2021-11-16 スクラップ・アンド・ビルド 羽田圭介 2015 文藝春秋

肉体。関係性。破壊。徹底的な破壊。生の実感。

スクラップ・アンド・ビルド (文春文庫)

読むモチベーション

  • 第153回芥川賞受賞作
  • Youtubeで羽田圭介チャンネル*1を視聴したことがある

感想

表紙を見てスレッジハンマーで夜な夜なダムを破壊する話なのだろうと想像を膨らませていた。実際読んでみると社会問題、家族関係、それと破壊、再構築のための破壊を描いた話なのだとわかった。

窒息するような日常。目を背けたくなるような生々しさ。気分が沈んだ。陰鬱な話だなぁと。でも、あれ、主人公が破壊的思想を持ち始めた。自己破壊*2。徹底的な追い込み。あれ。

スクラップ・アンド・ビルド。主人公のやりたいことがわかってくると面白くなった。再構成(ビルド)を感じさせる場面には不思議な爽やかさがあり、読み終わったあとにモヤモヤすることはなかった。建設的な破壊が描かれていた。印象に残った。