ポストイットケース「ワ」型

彫刻で文房具を作ったという内容。その前に日記のようなフィクションのような文章がある。

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東京インテリア階層

エレベーターは上ったり下がったりしていた。入る店を間違えてしまった。店内にはインテリアが並ぶ。

嫁入り道具になりそうな箪笥の群れ。書道家の書いた掛け軸、等身大美少女フィギュア。「うっせーうっせーうっせーわ」。

私はインテリアで満たされた部屋で暮らしてみたい。部屋は安らぎ成分で満たされ、隣人のことが気にならなくなるかもしれない。

天井を見つめながら理想を描く。インテリアのある暮らしに「ワクワク」していた。天井のシャンデリアはソワソワと「ワークしなきゃ」と言っているかのように揺れていた。

想像の素振り

事実を書いてしまうと、天井のシーリングライト。プラスティックのカバーに溜まった蚊の死骸とホコリを見つめていた。電灯はただ冷たく白熱していた。写実的に書いて楽しみたい。ファイナルファンタジー的でもありたい。なれるなら優しい人になりたい。安酒はシャンパンのように美味だった。そこには嘘っぽさはない。喉が渇いていた。際立つのは素直な真摯さ。

 ○PCに映し出されるミュージックビデオは自動的にリピートを繰り返す。

""お前の想像力が現実をひっくり返すんだ"(TheBirthday/月光の歌詞より引用)。繰り返し聴くセリフ。頭の中はイマジネーション湧かねぇぜ思考。でも、なぜだ。釈然としない。リスニング回数が甘いせいか。感受性のことは考えたくない。想像するためにはまだ足りない。なぜか必死になって視聴を繰り返す。

リピート回数が100を超えると想像が湧くようになったぜサイチェン(再見)。歌詞の中の「お前」は俺ではないが、俺にとっての「お前」がいるのは確かだとわかった。アイディアが湧いてきたからそれで十分。そういうことにした。

私にとって「お前」は<中略>。

言語化すると「ワ」だ。それくらいがいい。わっしょい。ワイド。ワクワク(さん)。和を押し付ける精神。ワークライフバランス。ワーカーホリックめな言葉。そこで留めて寝る。

起きたら休日。「ワ」をもって尊しデスク環境をひっくり返す。そんな彫刻してみようか。

ポストイットケース「ワ」型

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本体。ポストイットを貼る所は「ノリシロ」の刻印

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作業環境

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立体的に「ワ」を彫る。インテリアとしては小さいがポストイット置き場として使える(ポストイットは糊で固定する)。

「これは君のワーク環境をひっくり返すようなポストイットケースだ」と伝えると誰かに譲渡できる設計。

ワーカーのデスクにワを押し付ける作品。