二度寝しない術

目が覚めると、何か鳴っている。身体を持ち上げて目覚まし時計を止めて周りを見回す。天気は晴れ。枕元には紙袋に包まれた状態のフランスパンが置いてある。僕はそれを手に取り、齧って朝食を済ませた。寝ながら朝食を摂っているとパンの破片がベッドのシーツへパラパラと落ちていくことが意外だった。――結局、僕はシーツに霧散したパンくずをじっと見つめていることしかできなかった。――依然として、シーツの上に散らばったパンくずは忍者の使う撒菱のように散らばっている。――僕はなにかを諦め、髪を後ろに束ねて身支度を済ますと散歩するために河原へと向かった。