暗闇。
ヴヴヴヴ。
「なにか震えてる?」
男のスマートウォッチが振動している。
男は腕元に目をやると、時計から、にょきっという効果音とともに9時30分に開催されるイベントの通知が届く。
「なんだこれ・・・」
眩しい光がカーテンの隙間から差し込んでくる。
「なんだ朝か」
男は時計を確認したくなってくる。
「いま10時30分か」
男は寝坊したことに気づいた。
「今日寝坊するとは思ってなかった」
男は一瞬自暴自棄なり、そして心底呆れた様子になる。
「じゃーね」
そう言うと男はどこかへ消えていった。
じゃーねじゃねーよ。