私は寝坊する

目が覚めると時計は12時を指していた。私はこう思う。

寝坊した。

その瞬間、私は寝坊した私を責め始めた。はじめは社会的な見栄からくる自責的な感情であったとして、それは次第に自罰的な感情へと変化していった。時計を見るまではニュートラルだった私の感情はどこまでもマイナスへと落ちていった。

私は生来、天真爛漫な性格であった。あったと思うのだが、今では見る影もない。一応、今からでもできることはないだろうか。寝坊を帳消しにできるなにかはないか。などと考えてみる。しかし、残念ながら、寝坊したという事実を変えることはできそうないとわかった。建設的なアイディアは浮かんでこず、なにか浮かんできたとしてもすぐに忘れてしまった。

十分な睡眠を摂った私は寝ることに飽きてきてもいた。ベッドから身体を持ち上げて這い出る。ふと、机の上に目をやると、昨晩から室温に晒されたコカ・コーラがあった。

私はコーラを手に取り、飲んでみることにした。乾いた身体はぬるいコーラをすんなりと受け入ていくのがわかった。ぬるいコーラというのは思いのほか美味い。

水分を取り込んだことによって私の感情、身体感覚、意識、思考はクリアになっていった。いつもより冷静に物事を考られるようになった。

私は明日も寝坊するだろう。

自然と、そう思えた。