布団のシミが気になる

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」

布団のシミが気になる

午後10時に寝たら午前2時に起きてしまった。一度起きてしまうと中々寝付けず。ベランダで煙草を吸いながら暗闇を見つめたりはしない。外の景色なんて見ようとしていないで一服しても眠くはならないメビウス。深夜に寝る以外やることなんて浮かばない。

ふと、将来の不安を意識して押しつぶされそうになった僕は衝動的に部屋から飛び出して台所の冷凍庫をガバっと開け、たこ焼きとトロトロになったバーボンを取り出した。凍ったたこ焼きにオリーブオイルをジャバジャバと注いでから加熱。グラスに入ったバーボンを舐めながら電子レンジのカウントが0になるのを待っていると胸が踊った。焼き上がったそれを自室の布団の上にコソコソと運び出してから暗闇の中でノートパソコンの光を頼りに飲み食いしていると落ち着いた。腹は満たされて筋肉も不安も弛緩されていく。

昼頃になって薬品臭で目を覚ます。飲み切れなかったバーボンが発するアブサンのような刺激臭。二度寝を諦め、起き上がって布団を見ると、枕元に大きなシミを見つける。昨夜、たこ焼きの入った紙の容器は決壊してオリーブオイルが漏れた。

仕切り直すために台所で顔を洗い、残ったバーボンは捨てて、冷蔵庫からロング缶のコーラとアイスモナカを取り出す。アイスを食べると身体が冷え、お腹も痛くなってくる。コーラを飲み続けるとお腹の痛みがさらに増す。自然とお腹を壊してトイレに駆け込むことになった。半分くらいしか飲めなかったコーラの飲み口をサランラップで包んで冷蔵庫に入れる。身体が冷えたので布団で寝込んでいると目に映るシミ。――それ以来、布団のシミは日に日に大きくなっている気がする。